「テニス肘」という言葉を耳にしたことはありますか?その名前から、テニスをする人だけが発症すると思われがちですが、実はそうではありません。日常生活で腕をよく使う方にも起こりやすく、30代から50代によくみられます。
正式名称を『上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)』といい、肘の外側に慢性的な痛みや腫れを伴います。
なぜテニス肘になってしまうのか?その詳細なメカニズム
テニス肘の痛みは、肘の外側にある骨の隆起部(上腕骨外側上顆)に、手首や指を反らす筋肉が付着している部分で炎症が起きることで生じます。
私たちの前腕には、手首や指を動かすための多くの筋肉があり、これらは日常生活やスポーツ動作で頻繁に使われます。特に、ものをつかんで持ち上げる、ぞうきんを絞る、パソコンのキーボードを長時間打つといった動作は、手首を反らす筋肉(手関節伸筋群)に繰り返し負担をかけることになります。



このような使いすぎが続くと、筋肉は徐々に疲労し、硬く張った状態になります。硬くなった筋肉は伸縮性が失われ、その付着部である肘の骨に継続的な牽引ストレスをかけることになります。これにより、微細な損傷が蓄積し、炎症反応が引き起こされるのです。 初めは動作時に感じる違和感や軽度の痛みですが、次第に痛みが常時現れるようになり、悪化すると安静にしていてもズキズキと痛むようになります。
テニス肘の症状を軽視してはいけない理由
「少し痛いだけだから大丈夫」と放置しておくと、症状は慢性化し、日常生活に大きな支障をきたすことになります。痛みをかばうことで、肩や首など他の部位にも負担がかかり、さらなる不調を引き起こす悪循環に陥ることも少なくありません。
また、テニス肘には「手首を反らす筋肉の炎症」という最も一般的なパターンだけでなく、いくつかの症状パターンが存在します。これらを正確に把握しないまま自己判断でケアを続けると、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。だからこそ、痛みが現れたらできるだけ早く専門家にご相談いただくことが重要です。
当院が提供するテニス肘への専門的なアプローチ
当院では、単に痛みを抑えるだけでなく、痛みの根本原因を特定し、再発しにくい体づくりを目指します。患者様お一人おひとりの症状や生活習慣を丁寧にヒアリングし、最も適した治療方針を提案します。
【当院の治療メソッド】
- 痛みへの鎮痛アプローチ(理学療法) まずは、つらい痛みを和らげることから始めます。高電圧の電気刺激を与える「ハイボルテージ」や、温熱効果で組織の修復を促す「ライズトロン」などの機器を使用し、炎症を鎮め、痛みを軽減させます。
- 筋肉に直接アプローチ(鍼治療)ハイボルテージやライズトロンでは取り切れない残るポイントには鍼が効果的です。
- 筋膜・筋肉の柔軟性向上(手技療法) 硬く張ってしまった前腕の筋肉を、国家資格を持つ施術者が丁寧にほぐしていきます。筋膜リリースやトリガーポイント療法などを組み合わせ、筋肉本来の柔軟性を取り戻すことで、肘への過度な負荷を根本から取り除きます。
- サポートと血行促進(キネシオテーピング) 日常生活における動作時の負荷を軽減し、血行を促進するために「キネシオテーピング」を施します。正しい関節の動きをサポートし、筋肉の負担を軽減することで、自己回復力を高めます。
- 根本原因の解決(姿勢調整・トレーニング指導) 手首や肘の使いすぎだけでなく、姿勢の不良や肩甲骨の可動性の低下が原因でテニス肘が悪化しているケースは少なくありません。当院では、肩や背中、上腕部を含めた全身のバランスを評価し、正しい体の使い方を身につけるための「姿勢調整」や「トレーニング指導」も行います。これにより、再発を予防し、スポーツのパフォーマンス向上にも繋がります。
症例
症例:40代 女性 ご相談内容: 趣味のテニスを始めて2年。週3回のテニススクールに通っており、10日ほど前からテニス後の右肘に痛みを感じていました。少し様子を見たものの痛みが引かないため、当院を来院されました。
初診時の状態: 患部に強い炎症反応は見られませんでしたが、前腕の筋肉が非常に硬く張っている状態でした。
施術内容: 痛みの根本原因である前腕の筋肉の柔軟性を取り戻すために、「ハイボルテージ治療」と「手技療法」を組み合わせて行いました。また、日常生活での負荷を軽減するために「キネシオテーピング」を施しました。
治療経過と結果: テニスを続けながらの治療でしたが、1週間ほどで日常生活での痛みはほとんど感じなくなりました。その後、再発予防のために背中や肩甲骨周りの手技療法を継続。良いフォームでプレーがしやすくなったと喜んでいただけました。
現在: 今ではゴルフも始められるほど調子が良く、継続的なメンテナンスを行うことで、テニスもゴルフも痛みなく楽しまれています。スポーツのパフォーマンスアップだけでなく、ケガの予防のためにも、早めのご相談をお勧めしています。
まずはご相談ください
テニス肘は、早めの対処が早期回復の鍵となります。痛みを我慢せず、専門家による適切な診断と治療を受けることで、趣味や日々の生活をより快適に過ごすことができます。 当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な治療方針を提案いたします。 お体のことで気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。